坂井直樹氏の活動は京都芸大の学生時代、憧れの刺青を祖母に禁じられた反動で刺青Tシャツを作って現在の京セラ美術館で発表した所、西武の山岡氏の所から200枚の発注を受け、その資金でサンフランシスコで刺青Tシャツを作り、日米で発表し、西武でKENZO等と一緒にファッションショーを開催し、渋谷カプセルで販売した事から始まる。自身の仕事「コンセプター」とはモノを実際にアウトプットする仕事だがコピーライターに近い。日産のBe-1、Pao、フィガロなどは実際に車をデザインして生産して売る能力のある日産が唯一持っていなかった「何がインパクトになるのか」「何が売れるのか」を提案する仕事だった。これらは一種のサブカル自動車でもあり、自分はアカデミズムとサブカルの両方を考え、内外装デザイン自体は日産から来た10人の社員チームに「四角かった車を丸くすること」「デザインを退化させること」を提案し、彼らが作り上げ、難しい社内根回しを成功させてくれた。そしてその後のカーデザインは次第に丸くなった。ロフトで発売したオリンパスのカメラ、Oプロダクトはプラスチック全盛時代のコンパクトカメラに敢えて金属の輝きを持ち込み、その後各メーカーからも金属カメラが生まれてきた。自分の意識はいつもアマチュアであり、日産の仕事をしていた頃は免許すら持っていなかった。一方大衆車カローラ中心のトヨタは、高級車レクサスを生み出すのに、正攻法で膨大な時間と予算をかけ、なし遂げたが、今後の車の知能化時代で、しばらくは厳しくなるだろう。今知能化時代でハードとソフト双方自前化できるのはテスラ位。日本ではニンテンドーだろう。企業がフジフィルムのようにドメインを変更し生きながらえるのは大変な事であり、小売業では無印とワークマン女子、百均やドンキ等も世界に出ていける。コンビニエンスストアはかなりギリギリな業種だろう。一般的にウォルマートの例を見るように小売はローカルなもの。アマゾンよりゴチャゴチャしている楽天も日本流で頑張っている。買い物に何を期待するかは人それぞれ異なってきている。水野社長の全盛期の西武百貨店にはモノと情報があったが、今はモノしかない。でも無印を見る限り田中一光氏はまだ生きているといえる。表参道のジェントルモンスターなど無駄だらけの韓国ブランドショップには元気がある。自分は78歳で今年ミュージシャンデビューするが、音源もPVも一人で作った。著作権管理等は全てその道のプロがやってくれている。
F5
コンセプター
坂井直樹
(撮影日:2025/08/07)