渡辺紀征氏は、1963年一橋卒業後、入社した野村證券から5年後に公募で西友に入社。小金井店を経て本部営業企画畑へ。86年からは多角化事業の旅行、保険、文化事業も担当。関西西友統合にも尽力。無印良品の立上げにも関わり、95年にはファミリーマートで年間1000店の出店を牽引。バブル崩壊と銀行不況での危機に際し、米ウォルマートの資本導入を行ったが、結局ウォルマートの海外出店はどの国でも厳しい結果だった。無印良品は80年に西友PBとして発売され、89年独立したが、発端は78年頃、競合GMSも開発し始めたノーブランド商品を西友もやると提案した事。堤社長は「日本は欧米と違い中流意識が強く、安い低品質PBは売れない」と却下されたが、その後一流クリエイターの参画も得て、「訳あって安い」割れ椎茸等、素材・工程・包装を見直した良質廉価商品の開発に漕ぎつけた。無印自転車は空前の大ヒットとなる。またファッションスポットへの出店の指示があり、青山に30坪の路面店を初出店し、大阪アメリカ村等全国一等地路面、さらに有楽町西武1階出店。外国人にも無印には哲学がある事が理解された。付加価値と称して溢れるデザイン・機能・色に飽きた消費者に対し、無印は1に寡占メーカーによる大量生産を否定した反体制商品であること。2に色、包装、ネーミングの一貫した統一イメージ、3に価格合理性がヒットの要因だと提社長は総括。しかし商品開発会議は大変で、提案の一部しか通らなかった。
E3
元西友会長、元ファミリーマート副社長、元日本チェーンストア協会会長
渡辺紀征
(撮影日:2025/07/03)