E7 (株)アール コピーライター 吉田早苗 (撮影日:2025/07/15)

1982年頃、高島屋宣伝部に在籍していた吉田早苗氏は、西武の広告をデザイン会社アールと組んで始める事になったコピーライター岩崎俊一氏の要請で、アールに移籍した。アールは日本デザインセンターを立上げたグラフィックデザイン界の大御所、山城隆一氏が、同じ事務所にいた吉田臣氏と二人で立上げた事務所。しかしこれらお三方は既に故人となった。この頃、山城先生は自宅で飼っていた7匹の猫をイラストに描く事が多く、セゾンカードの広告に登場した猫イラスト等で一世を風靡した。コピーライター日暮真三氏もアールと組んで西武の広告に従事していたが、デザイナーとコピーライターの組合せは西武の販促の提案で行われた。西武の販促活動はクリエイティブを代理店に任せず、毎日のように西武の販促社員がアールの事務所に直接打合せに来ていた。年間テーマ、中元、歳暮、クリスマス等の広告には印象的なものが多く、「シェイプアップ。」「人間の街。」「感度いかが?ピッピッ。」「人の幸。」「思いやり深呼吸。」等々、コピーもグラフィックも印象的で、西武の広告は時代とシンクロして世の中に風を起こしていた。吉田早苗氏自身も池袋、渋谷、有楽町の東京3店舗情報を新聞5段にまとめた広告を作り続け、北海道、宮城、富山等の物産展の新聞広告やB3山手線中吊りポスター等も手掛け、これらで東京コピーライターズクラブ(TCC)最高新人賞を取る事ができた。今の広告のようにマーケティングデータやAIといった過去の実績やデータから言葉を作るのではなく、その時代のクリエイターの直観で未来の言葉を生み出していた。岩崎俊一氏の語り口は独特で、他社広告のコピーでも岩崎作品はすぐ分かった。西武の広告から世に出た日暮真三氏は、今も代理店とは仕事せず、82歳の現在も現役で、NHKみんなのうたの歌詞等も多く書かれている。

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