E11 元有楽町西武店長、池袋コミュニティ・カレッジ館長 野上秀子 (撮影日:2025/07/28)

野上秀子氏は1978年入社。当時はマスコミ、出版社等は大卒女子の求人がない時代だったが、入社前から西武美術館を見たり、西武のアートやショップマスター制度の新聞記事を見て、何か社会を変えそうな西武に対し、どう生きるべきかの答えが見つかると思い西武だけを受けた。一旦渋谷店ショップ販売部を経て、改装後の船橋西武ショップ販売部でセリーヌを担当するも、すぐに店長秘書を兼ねた総務部に異動し3年勤務。現場復帰を希望したら船橋コミュニティカレッジに異動となる。コミュニティカレッジは堤氏が命名したアメリカの市民大学を範とする誰でも学べる場であり、日本文化、海外文化、現代思想等人文系の教室から一般的カルチャースクールまで幅広い講座が特徴で、野上氏は船橋から池袋のコミュニティ・カレッジに異動し、美術関連講座を担当。その後池袋店で婦人雑貨部長に就任し、女性部長4人の一人として規模の大きな婦人雑貨部の重責を担い、大崎店長の厳しい指導と苦労の末1年間でようやく予算達成を実現。当時は婦人靴品出しをストップウォッチで測るほどショートタイムショッピングに拘った。その後仙台店長に赴任するも西武閉店とロフトへの業態転換となり、渋谷販売部長となる。ここで石井頼雄店長から婦人服ビジネスを学び、有楽町店最後の店長となる。2010年12月25日閉店直前の大きな売上予算達成のため、トゥモローランドやユナイテッドアローズ等大型売場の協力を取付け、バーゲン期前のため通常外商品期間限定展開で有終の美を飾った。その後一旦CSRを担当した後、セブンカルチャーネットワーク社長としてここの傘下となった池袋コミュニティ・カレッジも担当し、会社黒字化も行う。セブン傘下でもアートと経済の関係等、コミカレ本来の講座も維持した。前例のない仕事ばかりで夢中で取組んできたが、経済規模より人間にとっての価値を重視した堤清二思想を理解するには教養も必要であり、自らの反省とともに次世代にセゾン文化を風化させず語り継ぐ必要があると思う。